研究成果(平成19年度)
研究成果の詳細は「平成19年度 年次報告書」 ( pdfファイル )をご覧下さい。
環境物質動態研究部門
- 有明海の底質の細粒化について既往文献と新たな調査から以下の事実が明らかになった.東部海域では砂質底泥への陸域由来のシルト・粘土の混入が起こっており,西部海域では海域由来の有機物を多量に含んだ粘土の含有率が経年的に増大している.特に西部海域では,諫早湾口に堆積する粘土質の底泥が徐々に竹崎沖の海底谷を埋め,東進している.
- 有明海の懸濁物質輸送モデルのパラメータとして,底質の再懸濁条件の有明海湾奥部でのマッピングを行った.再懸濁条件としての限界せん断応力は粘土含有率とベーン剪断強度を用いることで推定できる.
- 沈降速度測定装置を開発し,実海域,感潮河道において懸濁物質の沈降速度を測定した.沈降速度は懸濁物質濃度の0.5乗に比例することが確認された.
- 有明海底質より抽出したEPSの性状を検討し,水に溶出しやすく懸濁物質に吸着され易いことを明らかにした.現地の底泥において,EPSの全糖濃度はほぼ含水比に比例し,季節や場所によって濃度が変化することを確認した.EPSがビンガム挙動を示し,降伏値が時間とともに変化することを明らかにした.EPSを添加した底質懸濁液は非ビンガム流体挙動を示し,Ca2+の共存系において著しく底質の粘度が上昇することを確認した.
干潟底質環境研究部門
準備中です.
環境モデル研究部門
- 諫早湾内で再懸濁した底泥が湾外に流出し,その後,塩田川沖海底谷に沿って湾奥西部底層に輸送されることを現地観測によって明らかにした.
- 夏季の小潮時に有明海奥部で発生する底層貫入が,エスチャリープリュームの底部フロントの位置が大潮小潮周期で変動することによって発生することを明らかにした.
- 筑後川から出水した淡水塊の挙動を数値モデルによって検討し,観測結果を精度良く再現することができた.また,淡水塊の移動に対する風や潮汐の影響を評価した.
- 有明海懸濁物輸送モデルを構築し,筑後川等から供給される懸濁物輸送の再現を行った.
- 佐賀大学海象観測塔で1975年から計測された流向流速に関する資料を解析し,流れと波浪の特徴およびその経年変化を評価した.
- 緑川・白川・菊池川・筑後川を対象にGISを用いて流出モデル・汚濁負荷モデルを構築し,有明海モデルへの境界条件として利用できる環境を整備した.